手作り里山クラフト

里山どんぐり活用 ネズミ工作詳解

はじめに

里山で採取できる自然素材は、子供たちの創造性を刺激し、自然への興味や親しみを育む素晴らしい教材となります。特にどんぐりは、その丸みを帯びた可愛らしい形状から、様々な生き物のモチーフに活用しやすい素材です。本記事では、どんぐりを活用したネズミの工作方法を詳解いたします。この活動を通じて、子供たちが身近な自然の恵みに触れ、作る楽しさや工夫する面白さを体験できることを願っております。

必要な材料・道具

里山どんぐりネズミを作るために必要な主な材料と道具は以下の通りです。

• 材料:

  • どんぐり（コナラ、クヌギなど、丸みのあるものが適しています）
  • 木の枝や蔓の細片（ネズミの尻尾用、長さ5〜10cm程度）
  • 小さな葉や木の実（耳や目に使用、例：サネカズラの赤い実、ナンテンの実、小さな木の葉など）
  • アクリル絵の具やポスターカラー（目や鼻を描く場合）
  • 木工用接着剤

• 道具:

  • カッターナイフまたは彫刻刀（どんぐりに穴を開ける場合、大人が使用）
  • キリまたは千枚通し（どんぐりに穴を開ける場合、大人が使用）
  • 竹串やつまようじ（接着剤を塗る際や、小さな実を扱う際に便利）
  • ピンセット（小さな部品を扱う際にあると便利）
  • 新聞紙やビニールシート（作業台を汚さないために敷く）

材料調達のヒント

どんぐりは秋に多く見られますが、種類によっては冬まで残っている場合もあります。拾う際は、虫食いやカビの少ない、きれいなものを選びましょう。採取後は、熱湯に数分浸けてからよく乾燥させると、虫が出るのを防ぐことができます。大量に必要な場合は、学校の敷地内や近隣の公園、管理された森林などに相談してみるのも一つの方法です。

尻尾に使う細い枝や蔓は、落ちているものや剪定後の枝を利用できます。葉や木の実も、季節によって様々なものが利用可能です。地域によって入手できる素材は異なりますので、その土地で手に入る自然素材を柔軟に活用してください。もし特定の素材が入手困難な場合は、代わりに毛糸、布、モール、ビーズなどで代用することも可能です。

どんぐりネズミの作り方（ステップバイステップ）

基本的などんぐりネズミの作り方を手順に沿って説明します。

1. どんぐりの準備: どんぐりの笠を取り外します。尻尾を取り付ける位置に、大人がキリや千枚通し、またはカッターナイフを使って小さな穴を慎重に開けます。穴は枝や蔓の太さに合わせて調整してください。
2. 尻尾の取り付け: 尻尾用の細い枝や蔓の片方の端に木工用接着剤を少量つけ、どんぐりに開けた穴に差し込み固定します。接着剤が乾くまで、しばらく置いておきます。
3. 耳の取り付け: ネズミの耳となる小さな葉や木の実を選びます。どんぐりの頭部の左右、耳をつけたい位置に接着剤をつけ、素材を貼り付けます。葉を使う場合は、適切な大きさにちぎったり切ったりしてから貼り付けます。
4. 目の取り付け: ネズミの目となる小さな木の実（例：ナンテンの実など）やビーズを2つ用意します。どんぐりの顔になる部分に接着剤をつけ、目の位置に貼り付けます。木の実が入手できない場合や小さい子供の場合は、アクリル絵の具や黒いペンで直接どんぐりに目を描いても良いでしょう。
5. 鼻やひげの表現: 必要に応じて、どんぐりの先端（顔）に小さな点として鼻を描いたり、細い糸やモールを使ってひげを表現したりしても良いでしょう。
6. 乾燥: 全ての部品を貼り付けたら、接着剤が完全に乾くまで十分に乾燥させます。不安定な場合は、粘土などで台座を作り、そこに置いて乾燥させると形が崩れにくいです。

教育的視点・指導のポイント

• 自然観察: 工作の前に、里山で実際にどんぐりを拾ったり、ネズミなどの小動物について図鑑などで調べたりする時間を設けると、子供たちの興味を引き出しやすいです。「ネズミの耳はどんな形かな？」「尻尾はどのくらい長いかな？」などと問いかけながら、観察力を養います。
• 素材の選択と工夫: どのどんぐりがネズミの体に適しているか、どんな葉や実が耳や目に見えるかなど、子供自身に考えさせ、素材を選ばせるプロセスを大切にしましょう。手に入りにくい素材の代わりに何を使えるか、一緒に考えるのも学びになります。
• 創造性の尊重: 必ずしも本物そっくりである必要はありません。子供たちが自由に発想し、個性的なネズミを作り出すことを促しましょう。「このどんぐり、なんだか眠そうに見えるね」「この枝のカーブが面白い尻尾になりそうだね」など、子供の発見や工夫を肯定的に評価することが重要です。
• 手順の理解: 複雑な工程は分解して説明し、一度に多くの指示を出さないように配慮します。難しい作業（穴あけなど）は大人が行い、子供には安全な作業を任せることで、達成感を味わえるようにします。

安全上の注意

• 道具の使用: カッターナイフ、彫刻刀、キリ、千枚通しなどの刃物や先端が尖った道具は、必ず大人が使用するか、使用時は大人が付き添い、安全な使い方を丁寧に指導してください。使用しない時は安全な場所に保管します。
• 接着剤: 木工用接着剤は比較的安全ですが、誤って口に入れたり、目に入ったりしないよう注意が必要です。使用後は必ず手を洗うように指導します。
• 自然素材: 採取した自然素材の中には、植物によってはアレルギーを引き起こす可能性のあるものや、誤飲の危険がある小さな実などがあります。使用する素材は事前に安全性を確認し、子供には口に入れないよう徹底して指導してください。また、素材に虫がついていないかも確認します。
• 作業環境: 作業場所には新聞紙などを敷き、滑りにくい安定した場所で行います。換気を十分に行うことも大切です。

難易度調整・アレンジ例

• 低学年向け: どんぐりへの穴あけ作業を大人が済ませておく。耳や目はペンで描くか、柔らかい粘土や毛糸などを貼り付ける簡易な方法にする。尻尾も枝ではなく毛糸を結びつけるなど、扱いやすい素材に替える。
• 高学年向け: 複数のどんぐりを組み合わせて親子のネズミを作ったり、木の実や小枝を使って巣やチーズなどの情景を表現したりする。どんぐりに色を塗ったり、フェルトなどで服を着せたりするなど、さらに複雑な装飾を加える。
• 他の生き物: この基本的などんぐりと小枝の組み合わせ方を応用して、ウサギ（大きな耳をつける）、リス（ふさふさした尻尾をつける）、クマ（丸い耳をつける）など、様々な生き物に見立てて作ることも可能です。

まとめ

里山のどんぐりを使ったネズミの工作は、手軽に始められ、子供たちが自然素材の温かさや可能性に触れる貴重な機会となります。作る過程で生まれる工夫や試行錯誤は、子供たちの考える力や表現力を育むことにつながります。本記事が、学校現場や家庭での里山クラフト活動の一助となれば幸いです。安全に配慮しながら、子供たちと一緒に里山の恵みを形にする楽しい時間をお過ごしください。